Column

「疲れたときこそ、あえて動く。」
休養学にならう“7つの休養タイプ”について 【休養学コラム 第2回】

#2 疲れた時こそ、あえて動く。自分にあう7つの休養タイプとは?

片野 秀樹(カタノ ヒデキ)

片野 秀樹氏

博士(医学)

一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。

東海大学大学院医学研究科、東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は博慈会老人病研究所客員研究員、日本疲労学会 評議員、日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組んでいる。著書に「休養学:あなたを疲れから救う」(東洋経済新報)、「今さら聞けない 休養の超基本 疲労ゼロを習慣化する」(朝日新聞出版)など。


第3章|7つの休養タイプから、自分に合う休み方を知る

休養学では、休み方を7つのタイプで捉えます。自分にとって回復しやすい方法を見つけやすくするためです。7つのタイプとは、次の通り。

①休息タイプ

睡眠、横になる、何もしない。

②運動タイプ

ストレッチ、ウォーキング、軽い運動。

運動タイプの例:ウォーキング、ヨガ、ストレッチ、軽い運動

③栄養タイプ

やさしい食事、食事量の調整。

栄養タイプの例:胃腸にやさしい食事、食事量を抑える、断食、白湯

④親交タイプ:

家族や友人との交流、ペットとの触れ合い。

親交タイプの例:家族や親しい人とハグ、ペットと触れ合う、あいさつ、森林浴

⑤娯楽タイプ:

趣味、推し活、映画鑑賞。

娯楽タイプの例:音楽鑑賞、推し活、習い事、読書

⑥造形・想像タイプ

料理、日曜大工、読書、書道。

造形・想像タイプの例:絵を描く、日曜大工、空想、瞑想

⑦転換タイプ

旅行、部屋の模様替え、衣替え。

転換タイプの例:衣替え、模様替え、買い物、旅行
出典:『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社刊)

【7つの休養タイプまとめ】

7つの休養タイプまとめ(生理的休養・心理的休養・社会的休養の分類) 図:休養モデル(杉田・片野モデル)

休息タイプは、眠る、横になる、休憩するなど、身体を休める方法。運動タイプは、散歩やストレッチのように、軽く身体を動かして整える休み方。栄養タイプは、食事や飲み物で胃腸を休ませ整えること。親交タイプは、人やペット、自然とのつながりによる回復。娯楽タイプは、趣味や推し活、映画鑑賞などに没頭する時間。造形・想像タイプは、書く、描く、作る、イメージするといった創造的な活動。転換タイプは、場所を変える、外に出る、環境を切り替えるなどの方法です。

大切なのは、「足りないものを完璧に埋めよう」としないこと。今の習慣を大切にしつつ、可能なら別の要素を“付け加える”発想が大事です。たとえば、いつもの料理を作る・食べるという行為でも、ただ空腹を満たすために作業としてこなすのではなく、包丁の音や素材の香り、彩りを感じながら丁寧に行うなら、単なる『栄養タイプ』の休養だけでなく、心の『転換タイプ』や自ら生み出す『造形・想像タイプ』の休養にもなります。旬の食材を意識してたまには少し離れたスーパーに行くことで、『運動タイプ』の休養も重なります。そして、家族や友人と一緒に作ったり食卓を囲んだりすれば、『親交タイプ』の休養にもなるのです。

日本リカバリー協会の2024年分析でも、休養は多角化傾向にあり、今の時代の休養は、「ちゃんと寝る」だけではなく、「自分に合う回復経路を複数持つこと」に進化しているのです。

第4章|5分でできる戦略的休息、今日からできるアクティブレスト

では、忙しい毎日の中で何をすればいいのでしょうか。ポイントは、“長く休む”より先に“こまめに回復する”ことです。片野先生は、ほんの5分でも、を仕事で埋めないことが重要だと語っています。見つけた隙間時間にメールを返すのではなく、その時間を休むために使う。これが戦略的休息の第一歩です。

特におすすめなのが、5分のマイクロレストです。やり方はシンプルです。まず、スマホを置く。次に、深く息を吐く。そして、視覚ではなく、味覚・嗅覚・触覚・聴覚に意識を向ける。たとえば、休憩で仕事の合間に飲むドリンクに対して、香りを感じ、カップの温度を確かめ、ひと口ずつ飲む。たったこれだけでも、情報過多で走り続けていた脳に“オフの合図”を送れます。

ドリンクを飲みながら一息つく様子

また、頭を使いすぎている人ほど、アクティブレストも有効です。脳は小さな臓器ですが、多くの酸素を消費します。座りっぱなしで疲れている時こそ、軽く立つ、肩を回す、廊下を歩く、外気を吸うといった小さな運動が、脳の巡りを変えてくれます。デスクワーク中心の人にとっては、「疲れたから動けない」ではなく、「疲れているからこそ少し動く」が回復の近道になることがあります。

実践のコツは、休み方を難しくしないことです。ぶらぶら歩く。入浴する。推しの動画を1本だけ見る。紙の本を数ページ読む。好きな音楽を目を閉じて1曲だけ聴く。タスクを書き出して頭の中から一度出す。どれも立派な休養です。“ちゃんとした休み”を大げさに考えすぎず、今ある生活の中に小さな回復ポイントを差し込んでいきましょう。

<第3回へつづく>


【参考・出典】